政府が働き方改革の一貫として、一般会社員の副業を促進する動きが頻繁になってきました。そんな中、地方自治体においても副業できるといった動きが見られています。
今までは公務員が副業をするなんていうことは、税金で雇用されているといった立場から考えるとあり得ないことであり、他の仕事との兼業を公務員がしてはいけないというのを当然とされてきました。
公務員の業界において、今までの当然とされてきた流れが覆されつつあるのです。
今までの常識からすれば、公務員は副業はできない立場にいました。
しかし、法律で禁止されているはずなのに、公務員がでも副業を気にしないでできる仕組みを作る自治体も出てきたのです。
今回は、これから来るであろう公務員の副業解禁の時代についてご説明をしていきます。
Contents
1. 政府が副業解禁を促進!公務員も副業できる時代?!
基本的に公務員というのは、国民の税金で雇用をされているので、公務以外の業務につくことを禁止されています。
ですので、公務員という立場でありながら副業をするということは、ルール違反ということになるのです。しかし、近年では政府が打ち出している働き方改革の影響で、公務員の副業を後押しする自治体が現れたのです。
このような動きにいち早く対応したのが、神戸市で「地域貢献応援制度」という仕組みをスタートさせたのです。
1-1.地域貢献応援制度とは
神戸市においては、阪神大震災からすでに20年以上の月日が流れ、現在も復興への取り組みが行われている最中です。
そういった復興活動を進めていく上で、大切な役割を担っている地域団体やNPO法人のメンバーの高齢化が進んでいたり、人手不足といった問題に悩まされていました。
公務員は原則として利益を目的とした副業は禁止されているものの、任命権者が許可をすれば、勤務時間外に副業をするのは可能です。
このような規則と公務員の副業をリンクさせて、地域貢献応援制度が生まれました。簡単に言うと、副業をするなら地域活動をそいてくださいといったことですね。
1-2.奈良県生駒市にも派生
神戸市だけではなく、こういった公務員の副業を促進する動きは奈良県の生駒市にも広まっています。
公共性のある団体での副業を促進するような内部規定を設けて、在職3年以上の職員で一定基準を満たした職員であれば、副業を認めているようです。
まだまだ全国的には公務員の副業を認めている自治体は少数派ですが、こういった動きが全国的にも頻繁になり、いつの日か公務員の副業が解禁される時代も訪れるのではないでしょうか?
2. 公務員の副業に関する法律
基本的に公務員の副業というのは、法律で禁止されています。国民が支払っている税金による雇用になるので、当たり前と言えば当たり前のことかもしれません。
副業が禁止といった規定に関しても、地方公務員と国家公務員それぞれで規定が決められています。
2-1.国家公務員の副業禁止規定
国家公務員法の副業禁止規定は、103条と104条にあり営利企業へ就職することと、自営での副業を禁止しており、さらには営利企業以外での就職は、内閣総理大臣や所轄庁の許可が必要となっています。
つまり、営利企業以外での副業であれば、許可を取れれば行うことができるということになります。しかし、現実的に許可を取ってまで副業をしようとする公務員は皆無であり、例え申請したとしても却下されるのがおちです。
2-2.地方公務員の副業禁止規定
地方公務員法での副業禁止規定に関しては、38条にあり営利企業への就職と自営で副業を行うことを禁止されています。
地方公務員も国家公務員と同じように、許可が下されれば副業をすることが可能なようですが、目的としては「全体に奉仕する」といったことが前提になければ、ほぼ許可されることはないようです。
3. 国家公務員の副業解禁事例(副業・兼業を許可した事例)
国家公務員は基本的に副業が禁止されていますが、それには例外もあります。
では、どういった状態であれば副業禁止規定に引っかからないのかを見ていきましょう。
3-1.住居の賃貸の場合
国家公務員の場合、住居を賃貸としているときには条件を満たした場合には副業としては引っかかりません。
その条件としては、「戸建てなら5棟未満」「マンションなら10室未満」さらに、これを自分で管理するのではなく管理会社に委託していて、不動産収入が500万円未満であれば、副業には当たりません。
3-2.住居以外の賃貸の場合
住居以外の賃貸、つまり不動産に係る副業になるわけですが、この条件としては「賃貸契約の件数が10件未満」「賃貸の関わる不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等」「旅館やホテルはNG」「賃貸駐車場は建築物ではなく、機械設備を設けておらず、駐車台数が10台未満」で、さらに自分で管理せずに管理会社に委託していて、不動産収入が500万円未満であれば副業には当たりません。
3-3.太陽光発電事業の場合
太陽光発電が10KW未満で、自分で管理せずに管理会社に委託している場合であれば、副業には当りません。
4. 地方公務員の副業解禁事例(副業・兼業を許可した事例)
地方公務員の規定に関しても、基本的には国家公務員と同様になります。しかし、地方公務員は国家公務員と違い「人事院規則」がないので、正しくは地方自治体に問い合わせるようにしましょう。
5. どこまで可能?公務員でも可能な副業とは
公務員は基本的に副業は禁止されているものの、規定を満たせば副業には当たらないものがあることを理解していただけははずです。
では、具体的に公務員はどこまでの副業が可能なのでしょうか?業種別に副業は可能なのかを見ていきましょう。
5-1.農業
農業で言えば、大規模な「牧畜」「酪農」「果樹栽培」「養鶏場」などはほとんどの場合が営利目的として判断されるので、禁止されています。
ただ、農業に関しては大規模でなければ副業として行うことを許されているようです。この理由としても、「地方公民が農業をすることを禁止してしまうと、農業をやりたい人が減ってしまい日本の農業が廃れてしまう」「公務上に知り得た情報が例え漏洩したとしても問題になることはない」といったことが挙げられるようです。
こういった理由があるので、農業を行うことは、明らかに利益が少ない限りは認められるようです。
5-2.不動産
不動産業に関しては、ある程度のルールを守れば副業として認められます。これは、有名なので理解している公務員の方も多いのではないでしょうか。
しかし、公務員の中でも不動産の副業がばれて処分を受けている人は多いです。これは、あきらかに利益を上げ過ぎている場合が多く、そもそも公務員と不動産業のどちらが本業なのかがわからないくらいの利益を上げている人ばかりです。
もし公務員で不動産業を始める場合には、どのくらいの規模でどれだけの収入があれば副業として認められるのか把握して挑戦するようにしましょう。
5-3.作家活動
作家活動は、「信用失墜行為の禁止」「守秘義務」「職務専念の義務」といった、国家公務員法や地方公務員法に規定されている事項に反しなければ問題ありません。
公務員の副業解禁情報まとめ
まだまだ公務員がどんな副業でも行っても良いといった、完全な副業解禁の流れにはなっていませんが、今後どのような動きになっていくのか注目が集まるところです。
しかし、公務員であってもしっかりと規定を守っていれば、行える副業があるのも事実です。もし副業をする場合には、法律をきちんと把握して行うようにしましょう。